公務員をめざす

社会を支える、暮らしを守る、大きなやりがいがある仕事。

公務員の仕事は「全ての人のための」サービス

 私たちが安心して暮らせるように、そして暮らしの安全が保たれるように社会の基盤を整備し支えること、それが公務員の仕事です。国あるいは自治体ごとの全ての人たちのために働くということは、企業に勤めていてできることではありません。大きな責任のある仕事ですが、やりがいも大きな仕事です。

約339万人が働く

 公務員は、大きく分けて「国家公務員」と「地方公務員」の2つがあります。国の機関に採用され、国全体に関わる仕事をするのが国家公務員、また地方自治体(都道府県や市区町村)の仕事をするのが地方公務員です。

 現在、国家公務員が約64万人、地方公務員が約275万人、あわせて約339万人もの方が全国各地で働いています。

幅広い活躍の場がある

 役所の窓口でさまざまな申請や相談に対応することだけが、公務員の仕事ではありません。国や地方自治体を支える仕事はとても幅広く、さまざまな活躍の場所と職種があり、『職種の宝庫』とも言えるのが公務員の仕事です。

 あなたのめざす仕事が、公務員の仕事の中にもあるかもしれません。企業での勤務を希望している人も、採用情報の中に興味ある仕事があれば、公務員として働くことも検討してみてください。

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採用情報の入手方法

● インターネット

 ・地方の就職情報サイト

 ・企業ホームページ

● 家族や親戚、地元友人からの情報
● 地方新聞の求人案内
● 地方のハローワーク・商工会議所
● 地方で開催される合同企業説明会
● 学生職業センター・学生職業相談窓口
● キャリアセンター(就職課)

活動のポイント

 Uターン・Iターン就職は、採用情報の量が少ないことや、説明会や選考に参加するための時間・交通費などの面で進めづらいと感じることもあります。そういったものを克服し、就職活動を成功させるためにも、早めに準備をすることが必要です。

  早めに意思決定をしよう

  就職活動を、都市と地方の両方で並行して行うのか、地方1本に絞り込むのか、それによって就職活動が大きく変わります。地方への就職活動は、時間的制約があるので、早めに意思決定をして、効率的なスケジュールを組めるようにしていく必要があります。

  長期休暇を有効利用しよう

  地方に何度も出向いて就職活動を行うのは、時間的・経済的な面でかなりの負担がかかります。早めに情報を収集しておき、大学の長期休暇を利用して説明会や面接に参加するなど、効率的に活動しましょう。

  スケジュール管理をしっかりと

  地方で就職活動を行う場合、選考を受けるための移動や宿泊が伴います。長期休暇などを利用しても、限られた期間内に集中して活動を行う必要があるため、きちんとしたスケジュール管理がポイントとなります。また都市と並行して就職活動を行う場合は、選考が重ならないように注意しなければなりません。自分の負担を軽くして、少しでも就職活動に集中するためにも、スケジュール管理をしっかりと行っておきましょう。

point ● 自分に合った職種を選んで受験しよう!

募集される職種によって試験の程度が「大卒程度」「短大卒程度」などに区分されています。また試験内容もさまざまです。採用試験情報をよく見て、自分に合った試験にチャレンジしましょう。

国家公務員の構成

 国家公務員の約64万人は、国の機関である省庁で働く人の約27万5000人と、特別職と言われる自衛官を中心とした防衛省職員の約26万8000人で大半が構成されています。その他、大臣や大使、裁判官や検察官、そして国会議員や国会で働く職員も国家公務員にあたります。

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地方公務員の構成

 地方公務員は「都道府県」と「市区町村」に大別され、合わせて約275万人が全国で働いています。それぞれ一般職と特別職に分かれ、一般職は都道府県庁や市区町村の役所・役場で働く人、学校や幼稚園・保育所で働く人、そして警察官・消防官などで構成されています。

 特別職は、試験による採用ではなく、選挙で選ばれる自治体の首長や議会議員が中心です。

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point ● 分からないことは、積極的に省庁や自治体に確認!

各省庁や地方自治体から発表される採用情報を見ても分からないことがある場合は、直接電話で問い合わせればきちんと教えてもらえます。

国家公務員・地方公務員それぞれの役割

 「国家」と「地方」、同じ公務員でも活躍の場が異なれば、求められる役割にもそれぞれの特徴があります。それぞれの役割について、ここでは簡単に触れますが、省庁や自治体ごとにさまざまな仕事がありますので、詳しくはホームページなどを参考に、情報収集をしてください。

国家公務員の仕事

 各省庁やその関連機関等において、国全体を支え、守る仕事に携わります。法務省や警察官の仕事のように、国の治安や秩序を守るための仕事、外務省での国家間の外交を専門に担当する仕事、国土交通省での道路や治水、港湾などの整備事業に関する仕事、厚生労働省での労働や福祉に関する仕事、文部科学省での教育や文化に携わる仕事など、いずれも国家レベルの施策に取り組みます。

国家公務員総合職・一般職・専門職

 国家公務員試験において、最も受験者数が多い職種です。総合職は大学院及び大学卒業程度、一般職・専門職は大学及び高校卒業程度の試験レベル(難易度)とされています。総合職は政策の企画立案能力、一般職は的確な事務処理能力、専門職は専門的知識を有するかどうかを重視されています。

地方公務員の仕事

 都道府県、市区町村それぞれの自治体で、その住民を支える仕事に携わるのが地方公務員です。

 役所・役場での出生や婚姻、戸籍関連の窓口業務、水道、道路、ゴミの回収など生活維持のための事業、それらの施策を企画・運営していく部門、地域活性化のための産業育成やその宣伝活動、教育を支える学校事務など、地方公務員は、私たちの暮らしにより密接したかたちでサポートをする仕事です。

警察官・消防官

  警察官や消防官も地方公務員にあたりますが、下のように、警察官と消防官は採用窓口が分かれています。

● 警察官:都道府県採用

● 消防官:市区町村採用

 警察官や消防官をめざす人は、どの自治体に採用があるか、またどのような時期に募集があるかをホームページなどでチェックしておいてください。

公務員試験に向けたスケジュール

 公務員をめざす上では、しっかりとした計画を立て準備をしておくことが重要です。まずは、どのような職種をめざすかを決め、受験に必要な勉強を計画的に進めましょう。

 また、省庁や自治体ごとに試験スケジュールが定められていますので、受験申し込みの受付期間や試験日などの情報を収集し、受験機会を逃さないようにしましょう。

一般的なスケジュール例

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point ● 民間企業との併願は、より慎重な計画と対策を。

併願を考えている場合は、民間企業での選考開始時期と公務員試験の選考開始時期が重なってしまうので、より綿密なスケジュール管理が必要です。早めに併願に向けた計画を立てることが重要です。

公務員試験の出題内容

 公務員試験には、一般的に1)基礎能力試験(教養試験)、2)専門試験、3)論文・作文、4)面接・集団討論等、の4種類があります。ただし、専門試験の出題範囲が自治体ごとに異なっていたり、あるいは専門試験や論文・作文が省かれる場合など、各省庁、自治体によって、また試験区分によってもさまざまです。

 試験内容は事前に発表されるので、受験を希望する試験がどのような内容で実施されるかを把握しておきましょう。

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受験に際しての注意事項

年齢制限、学歴制限、日本国籍を問われる場合がある

 地方公務員の場合、大学卒業者は「大卒程度」の試験は受験できますが、「高卒程度」の試験は受験できないことがあります。また、公務員を志望するには基本的に日本国籍を有する必要がありますが、試験区分によって不要な場合もあります。

異なる自治体で試験日が重なることが多い

 近隣の自治体で同一の試験日を設定するケースが多くなっています。試験日が異なれば、複数の自治体を受験できますが、試験日が重なっていることも多いため、試験日程を把握した上で、どの自治体を受験するかを十分検討しておきましょう。

しっかりと勉強することが必要

 公務員試験では、基礎能力試験(教養試験)と言われる一般的な知識や学力に関する試験を見ても、出題内容が広範囲にわたり、たやすくクリアできるようなものではありません。さらに専門試験として、その職種に必要な専門知識を問われる試験もあり、事前の勉強と対策は不可欠です。

 受験に向けて計画的に勉強をするために、市販の参考書を活用したり、公務員受験専門のスクールで学ぶことも有効です。

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基礎能力試験(教養試験)対策の勉強は必須!

 いずれの省庁、自治体においても、大半の1次試験で基礎能力試験(教養試験)が実施されます。公務員をめざす人であれば、必ず突破しなければならない第一関門とも言えますので、しっかりと勉強しておきましょう。